トラストバンクが2023年から本格開始した新規事業「休眠預金活用事業」。本事業部のメンバーは、休眠預金を主な財源として、事業者さんが考える「地域の課題解決」と「持続可能な収益性」を同時に叶えられるソーシャルビジネスを、実行に至るまで併走しています。
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この、TBbaseの期間限定特別連載「有希子のPO(ピーオー)日記」では、そんな「休眠預金活用事業」に携わる「プログラムオフィサー(PO)」の普段のお仕事内容や、採択された事業者さんのプロジェクト進捗などを現場からお届けします!
こんにちは!休眠預金活用事業/ソーシャルイノベーションデザイン室の有希子です。
2023年10月から、期間限定連載として続けてきました「有希子のPO日記」も今回最終回となります(涙)
ぜひこの機会に、過去の記事もご覧になっていただき、トラストバンクの休眠預金活用事業を通じて、各事業者さんで進んでいるプロジェクトやそれによって地域で少しずつ芽生えている変化の種を、私の記事から少しでも感じていただけていたら嬉しいなと思っています。
そしてPO日記の最終回は「いかなる境遇でも、誰もが活き活きと希望を持って働ける」そんな社会に繋がる活動を行っているボーダレスキャリア株式会社さんのお取り組みをご紹介したいと思います!
<ボーダレスキャリア株式会社さんについて>
ボーダレスキャリア株式会社さんは、不遇な過去や家庭環境により、自己・他者肯定感が低く挑戦や行動の継続ができない若者が、自分の仕事にやりがいを持って働き続けられることで経済的・精神的に安定し、将来に希望を持って生きられるようになることを目的として活動されています。
2017年の事業開始以来、首都圏を中心に、不遇な過去を持ち就労が困難な状態にある若者に一人ひとり向き合い、段階的に成功体験を積み重ねてもらいながら、若者と人手不足に悩む企業を繋いできました。
この6年間で正社員就職をした若者は230人、就職後の定着率は90%以上を維持しているそうです。
<小さな成功体験の積み重ねと、”いい大人”との関わりの大切さ>
この高い定着率を維持し続けている背景には、ボーダレスキャリアさんが行う「ステップ就職」という仕組みがあります。
この仕組みでは、まず、専任の担当者が不安を抱える若者に寄り添い就職活動に伴走、そして企業とのミスマッチを防ぐため、最初にお試し就職という形を取ります。そして働きながら本人と企業の双方が適性を判断し、入社後も定期面談で定着支援を行うなど、就職活動から就職後まで徹底的に若者のサポートを行っています。また、若者の就職先となる企業は若手の育成に真剣に取り組む企業だけを厳選。なんと、ボーダレスキャリアさん社員全員で、「自分の家族にこの会社で働いてほしいと思えるか」という基準で、判断をされているそうです。
そして入社後も企業と連携し、段階的に成功体験を積み重ね、安定的に働き続けるサポートをされています。企業側としても、人材不足で苦しむ中、若い人材を採用し育成ができるということは大きな魅力になっています。
代表の高橋大和(ひろかず)さんは、「受益者(事業を通して課題を解決する対象)は一貫して、不遇な過去により、就労困難な状況にある若者。たとえ不遇な家庭環境や過去があったとしても、そのような若者が”生きていてよかった”と自分の人生を肯定できるようになってほしい」と話されています。
人生は「楽しい」「嬉しい」と感じるときばかりではなく、そして自分自身を否定してしまうことは、きっと誰もが経験することだと思います。ボーダレスキャリアさんの受益者(事業を通して課題を解決する対象)は「不遇な過去により、就労困難な状況にある若者」ですが、時と状況、場合によっては、誰もが就労困難な状況になる可能性はあります。そう考えると、誰にとってもボーダレスキャリアさんの事業はすごく支えになるのではないでしょうか。
そして、そういった方々が少しずつ一歩ずつ進んでいくために大切なことは、「今できることをやり、小さなことを積み重ねていくこと。そして周りの”いい大人”の存在です」と大和さんは言います。
この休眠預金活用事業を通じて、ボーダレスキャリアさんは首都圏から関西圏(大阪、兵庫、京都エリア)にも事業を拡大し、関西圏の就労困難な若者に事業を届けていきます。そして、若者を支える「いい大人」のネットワークをさらに作っていくため、連携企業同士を繋ぐ新しい取り組みも開始されています。
この取り組みの一つが、4月から実施されている「若手が輝くいい会社を訪問するスタディツアー」。
私も先日、このスタディツアーに参加し、豊洲の東京中央卸売市場の「東京魚類容器株式会社」さんにお伺いしてきました。こちらの会社では、ボーダレスキャリアさんを通じて就職した若者が勤務しています。
スタディツアーでは、東京魚類容器株式会社の原社長より、人生そして会社経営で大切にされていることなどをたっぷりお伺いし、会社だけでなく、「生き方」についても考える時間をいただきました。
また何より、東京魚類容器の若手社員の皆さんが、活き活きと自分の目標ややりがいを持ち、自分の仕事と向き合っていることが本当に印象的でした。
このような若者が活き活きと輝く会社の繋がりがボーダレスキャリアさんを中心にどんどん広がり、若者の強い支えになっていく、そういった可能性を感じました。
本事業の事業期間で、関西圏での事業を確立し、受益者である就労困難な若者に生じた変化や成果をしっかりとお伝えできるよう、トラストバンクも引き続き伴走させていただきますので、大和さん、ボーダレスキャリアの皆さん、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします!
「有希子のPO日記」最終回では、「いかなる境涯でも、一人ひとりいきがいを持てる社会」を目指し活動をされているボーダレスキャリア株式会社さんのお取り組みを紹介させていただきました。
今回を含めて、これまで「有希子のPO日記」でご紹介してきた全ての事業者さんのお取り組みは、どれも受益者の持つ課題を解像度高く捉えながら、その課題解決に繋げていく事業であるとともに、事業者さんご自身の「ビジネス」としても成立させていくという、決して簡単ではないものです。
事業者さんに今後も伴走支援をしていくにあたり、私自身もPOとしてもっと学び、成長していかなくてはなりません。
2026年2月の事業期間終了時には、各事業者さんの事業を通じて起きた地域の変化と成果を皆さまにしっかりと報告できるよう、引き続き事業者さんと一緒に進んでいきたいと思います!
各事業者さんの活動を、引き続き応援いただけましたら嬉しいです。
半年間、お付き合いいただきましてありがとうございました!