日本は災害大国です。そして、どんなに科学技術が発展しても地震や台風といった災害を防ぐことはできません。それでも、ICTとヒトの想いによって災害支援はより的確に、もっと力強く行うことが可能です。
『ふるさとチョイス』では2014年からはじめた『ふるさとチョイス災害支援』で、これまで30件超の災害に対し、累計69億円以上の寄付金を被災地に届けることができました。
その後、2016年の熊本地震で「代理寄付」 制度を国内で初めて開始。寄付に関する業務を被災自治体以外の自治体が担うことで、被災自治体は住民の安否確認といった災害対応に集中でき、結果として、自治体同士の支援ネットワークも強固になっていきました。
寄付者は『ふるさとチョイス災害支援』を通じて、おカネとともに応援メッセージを添えることができるのも特徴の一つ。今年の7月豪雨で被災した熊本県八代市は、紙に印刷した寄付者からの応援メッセージを避難所に張り出し、避難者を励ましました。
被災自治体の多くがサイトで寄付を募るとともに被災状況も報告するため、プラットフォームでは「報道されない被災地」について知ることもできます。
今後も『ふるさとチョイス災害支援』が災害支援の大きな柱であることに変わりはありません。しかし、寄付による支援だけではなく「減災から復旧・復興」までをサポートするため、あたらしい支援サービスをはじめることにしました。
スタートしたのは『トラストバンク レジリエンス パッケージ』。災害時の「レジリエンス=復旧力」を強化するため、直接的で包括的な自治体への災害支援サービスです。これまでの「寄付金(おカネ)」に加えて「水資源」「緊急医療」「エネルギー」といった緊急性の高いインフラもパートナー企業・団体と連携して全国の自治体に提供していきます。
(1)水資源支援とは?
被災地が手洗いや入浴など、清潔で安全な水を使用できるように支援します。AI水処理機能を備えたWOTA社製の屋外シャワーキット「WOTA BOX」を提供。1度シャワーで使用した水でも98%以上を再利用することができ、持ち運びも可能なため、避難所はもちろん平時にも活用できます。
(2)緊急医療支援とは?
空飛ぶ捜索医療団「ARROWS」と連携し、捜索・救助、医療や物資の支援や避難所の運営を行います。平時には過疎化が著しい地域への医療スタッフの派遣、ヘリや飛行機を使った離島の巡回診療、急患搬送などの活動を想定しており、災害時は無償で提供します。
(3)エネルギー支援とは?
北海道胆振東部地震でのブラックアウトのように、毎年の地震や台風では停電が起き、被災地の復旧に影響をおよびしています。そこで、太陽光パネルと蓄電池(テスラ社製「Powerwall」)を避難所などの災害拠点に設置することで、冷暖房だけではなく、避難生活に必要な電力を賄える環境を提供します。平時には設置した拠点で自家消費できるほか、余剰電力を地域へ売電できる仕組みを構築します。
パートナー企業・団体の協力を得ることで、『ふるさとチョイス 災害支援』に(1)「水資源支援」(2)「緊急医療支援」(3)「エネルギー支援」が加わり、災害時の復旧を包括的に支援できるようになりました。
支援のカタチができあがっても、緊急時にはだれもが戸惑ってしまうものです。
『ふるさとチョイス災害支援』が多くの自治体(※2020年7月現在で430自治体)に利用されているのは、ふだんから使い慣れている『ふるさとチョイス』と同じシステムで使えるから。つまり、新たなオペレーションが必要ないためだと考えられます。
今回のレジリエンスパッケージも、平時から活用できるサービスを提供し、有事のときも迅速に対応できるようにしました。
また、トラストバンクは2019年11月から自治体専用のビジネスチャット『LoGo チャット』の活用提案を自治体に推進してきました。自治体職員は多忙であり、人手不足。しかも業務の特性上、どうしてもアナログな電話や紙による情報共有も多いため、ICTの活用メリットが大きいと感じていました。
すでに550超の自治体で27万以上ものアカウントが利用中(2020年10月末時点)。こちらも「平時から使い慣れたサービス」になりつつあり、災害時には本部や避難所、病院などとつながれる有力なコミュニケーションツールになっています。
『ふるとチョイス災害支援』と『LoGo チャット』による「おカネ」と「情報」の支援。それに加え、今回のレジリエンスパッケージでは、トラストバンクだけでは実現できなかった「水資源」「緊急医療」「エネルギー」、つまり「ヒト」と「モノ」が提供できるようになりました。
でも、支援のカタチはまだまだ進化の途中です。
トラストバンクが持つ全国約9割をカバーする1570自治体超のネットワーク(※2020年10月時点)を基盤に、ICTとパートナーの力を掛け算していくことで、もっと被災地のためにできることを増やしていきたいと思います。
※肩書などは取材当時のものです