国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する株式会社トラストバンク(本社:東京都品川区、代表取締役:川村憲一、以下「トラストバンク」)は本日12月10日、2024年の「寄付者動向のまとめ」および「来年以降のふるさと納税のトレンド予測」を発表します。
ふるさと納税制度は拡大を続け、2023年度の寄付総額は過去最高となる1兆円を突破しました。ふるさと納税の寄付者は、世の中で話題になっている事案や社会情勢に影響を強く受け、お礼の品選びにもそれらが反映される傾向にあります。 2024年は物価高騰を背景に、生活防衛の手段としてふるさと納税を活用する動きが顕著になりました。さらに、地震や台風など自然災害、猛暑などの気象災害の発生によって、被災地域やその地域の生産者・事業者への支援手段として、また防災対策の一環としてもふるさと納税が活用される動きが見られました。
■ 「生活防衛の手段」としての定着
2024年も日用品をはじめとした相次ぐ値上げにより、家計の負担軽減を目的としたふるさと納税の活用傾向が見られました。特に、家庭用紙製品などの日用品やお米、オリーブオイルなど日々の食卓に欠かせない品への寄付が増加しました。8月は特に寄付件数・金額が増えており、背景には南海トラフ巨大地震臨時情報が出たことで、ふるさと納税を活用して備蓄しようと考えた寄付者がいたと推察されます。
トイレットペーパーへの寄付金額では、今年最も伸び幅が大きかった8月に関して、2024年は対2022年比で約3倍、対2023年比で約1.3倍に増加しています。また1月~11月の最新数値では、2024年は対2022年同期比で約2.3倍、対2023年同期比では約1.5倍に増加。同様に、オリーブオイルへの寄付金額は、1月~11月の期間において、2024年は対2022年同期比で約1.7倍、対2023年同期比では約1.4倍に増加しました。さらに「令和の米騒動」とも称された米の不足・価格高騰が影響し、米への寄付についても増加傾向がみられました。1月~11月の米への寄付金額について、2024年は対2022年同期比で約1.6倍、対2023年比で約1.2倍に増加。特に伸び幅が大きかった8月に関し、2024年は対2022年比で約3.1倍、対2023年比で2.2倍に増加しています。
■ 災害による「共助」と「防災意識」の高まり
▽災害支援寄付の活発化
災害発生時の寄付手段としてふるさと納税の認知が広がっていることが見て取れた1年でした。
2024年は地震や豪雨、台風など多くの自然災害が発生し、「ふるさとチョイス災害支援( https://www.furusato-tax.jp/saigai/ ) 」では、被災地の復興・復旧のために1年間で24億円以上の寄付額が集まりました。特に令和6年能登半島地震の支援では、20億円以上の寄付金が集まり、過去最大の寄付額と寄付件数となりました。さらに能登半島地震においては、被災していない自治体が被災した自治体の代わりに寄付を集める「代理寄付」を行う自治体数や「代理寄付」を通じた寄付も過去最多(注1)となり、自治体間の共助の輪が広がりました。
注1:2014年~2024年11月までの間、ふるさとチョイス災害支援で支援を行った全災害のうち、代理寄付自治体数および代理寄付によって集まった寄付金額が過去最多
▽事業者・生産者支援の機運が高まる
自然災害や気象災害による農作物・海産物への被害を受け、味は変わらないものの規格外となった品が、「訳ありのお礼の品」としてふるさと納税の品として登録され、新たな価値を見出す動きが多く見られます。自治体側でもこうした品の登録を増やす傾向がみられ、2024年1月~11月の「訳あり」という表記がある品の新規登録品数は2022年、2023年の同期比でそれぞれ約3.5倍、約2.1倍と増加していました。
「訳ありのお礼の品」への人気も定着しています。2024年1月~11月の寄付金額を同期で比較すると、2022年比で約1.5倍に増加し、2023年比では微増していました。「訳あり」の品では比較的安く寄付金額が設定されていることに加え、寄付者のサステナビリティに対する意識の高まりや、地域の事業者や生産者を支援したいという意識が定着してきたことの表れと考えられます。
さらに本年は、お礼の品に関しても地震と豪雨の自然災害に見舞われた北陸地方への支援の動きが顕著でした。石川県および県内自治体のお礼の品への寄付は、2024年1月~11月の寄付件数を同期で比較すると、2023年比で約2.6倍増加しています。特に能登半島地震発生後の2024年1月~3月の寄付件数は、昨年同期比で約7.8倍増と、被災地支援への寄付者の強い想いが表れています。
▽防災グッズへの寄付が増加
2024年1月~11月の、品名に「防災」という表記がある品への寄付件数は2023年同期比で約4.9倍、2022年の同期比で約7.7倍増加しています。
特に「簡易トイレ」への寄付額の伸びが顕著で、能登半島地震が発生した1月と南海トラフ地震臨時情報が発表された8月は昨対同期比で21.6倍、18.4倍とそれぞれ大きく寄付額を伸ばしています。「パックご飯」の寄付額についても8月には前年同期比で1.7倍、2022年同期比では10.8倍に増加しており、世の中の防災意識の高まりが寄付動向に影響を与えていることが伺えます。
今後のふるさと納税のキーワードは「推し活」での活用など「+αの充実感」
2024年はふるさと納税を活用した災害支援や、事業者・生産者支援など「誰かを応援するための寄付」が寄付者トレンドの兆しとして見受けられました。今後は、寄付先の地域に加えて「応援したい誰か」の役に立つことによって得られる「+αの充実感」を求めた動きが出てくることが予想されます。
例えば、実際にふるさと納税にはスポーツクラブやアイドルなどの人物、アニメキャラクター、漫画、など応援対象に関連するお礼の品があり、グッズだけでなく現地に運んで応援対象に関連したアクティビティを楽しめる「体験型」もあります。物価高騰による節約志向の中でもいわゆる「推し活」を楽しみたいと考える層にとっては、ふるさと納税で地域に寄付をし、お礼の品をもらったり税控除・還付を受けられたりするだけでなく、「+α」としてふるさと納税を通じて推し活を楽しみ、さらには応援対象の役に立つことに充実感を覚えていると推測されます。
また、各自治体側においてもコンテンツを資源と捉えた地域おこしが活発化しています。推し活に関連したお礼の品の中にはふるさと納税限定で提供しているものもあり、地域が関係・交流人口創出のための呼び水として活用している様子が伺えます。
■ 寄付者向けのアンケート結果でも「ふるさと納税×推し活」への関心高く
今回トラストバンクは、「推し活」実践者303人を対象に「推し活とふるさと納税の関係性に関する調査」(期間:2024年12月3日~12月10日)を実施。その結果、約6割がふるさと納税を活用して「推し活」ができることを認知していました。また「知らなかった」と回答した方のうち半数以上がふるさと納税を活用した推し活に対して「やってみたい」と意欲を示したことから、今後も推し活を契機とした制度活用の動きは広がっていくと見込まれます。
また、昨今の物価高騰でチケット代やファンクラブ会費が値上がりするなど、推し活をしている方の金銭的負担感は高く、ふるさと納税を活用して推し活をする方の中で「税金の控除や還付が受けられる」ことをメリットとして感じている方が多くいることが分かりました。続いて「推しに関するふるさと納税限定のグッズ入手や体験ができる」と答えた方も半数近くおり、自治体におけるコンテンツを地域活性に生かす取り組みが功を奏している状況も伺えます。
株式会社帝国データバンクが今年の10月31日に発表した「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年11月(注2)によると、2025年も原材料価格や物流費などの上昇により、食品の価格高騰は続くことが予測されています。このことから、引き続き世の中の節約意識は高く保たれることが想像され、「推し活」をする方の中でも、現実的な節約意識と、応援することで得られる充実感を両立させる手段としてふるさと納税を活用する方が増えていくのではないかと予想しています。
注2 帝国データバンク 定期調査:「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年11月
https://www.tdb.co.jp/report/economic/tdb_neage241031/