兵庫県豊岡市とふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」」( https://www.furusato-tax.jp )を運営する株式会社トラストバンク(本社:東京都目黒区、代表取締役:須永珠代、以下「トラストバンク」)は10月15日から、トラストバンクが提供するふるさと納税を活用したクラウドファンディング型で寄附を募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®」(以下GCF)で、劇作家平田オリザ氏監修の演劇ワークショップを開発し、小学生の非認知能力の向上を目指したプロジェクトを開始します。募集期間は2019年10月15日~12月31日、目標寄附金額は100万円です。
これまで学校教育では、テストの点など数値に表せる認知能力に重点を置いてきました。しかし、OECD(経済協力開発機構)などの調査結果から、子どもの「生きる力」を育むためには「自制心、やり抜く力、他者と協働する力」など数値に表しにくい「非認知能力」の向上が重要であることが分かってきました。
非認知能力の向上には、演劇やダンスなどの表現を大切にした学習が有効とされています。豊岡市では、既に市芸術文化参与で世界的劇作家の平田オリザ氏監修のもと、小学6年と中学1年に演劇的手法を取り入れた授業を導入しており、今回は、小学1~3年を対象に演劇ワークショップのプログラムを開発します。
モデル校2校のうち1校は単学年、もう1校は小規模校による複数学年の学習集団で実施します。2校での試行により、大規模校から小規模校まで汎用性のあるプログラムの開発を目指します。
演劇ワークショップを行いながら、プログラムの効果として子どもたちの非認知能力の変容を測定する方法を青山学院大学へ委託し、研究していきます。数値では測れない力を様々な観点でデータ分析し、測定する取り組みは全国的にも例は少なく先進的です。完成した市独自のプログラムは、全国の学校や教育関係者に活用してもらえるよう発信していきます。
寄附金は、演劇ワークショップのプログラム開発費や、非認知能力の評価方法の研究費に使います。
今回、豊岡市が取り組むGCFは、お礼の品ではなく“使い道”から寄附を募ります。自治体はGCFを通じて、地域課題や課題解決策を広く発信し、共感を得ることで寄附を集めます。一方、寄附者は地域に対する応援の想いで寄附をするため、交流・関係人口増加につながる仕組みとしても注目されています。プロジェクト数も年々増えており、2019年6月の制度改正でGCFへの関心はさらに高まることが予想されます。
「この非認知能力向上プロジェクトは、貧困対策が起点となっています。貧困の世代的再生産を断つためには、貧困の状況にある子どもの学力保証が重要であり、そのための環境整備を進めようと考えました。
学校の教育環境に着目する中で、文部科学省の委託研究やOECDの研究の結果、社会的背景による学力格差を抑え込むためには非認知能力の育成が重要であることが明らかになってきました。忍耐力、自制心、協働性といった非認知能力は、文字や数、思考力と相互に関係しあい、認知能力を向上させることが指摘されています。また、アメリカの研究では、学力への相関関係以前に、非認知能力自体が「生きる力」として重要であるとの報告もあります。
この能力を向上させるためには、芸術系のワークショップが有効であることから、本市では演劇的手法による非認知能力向上プロジェクトを立ち上げることとしました。これまでから劇作家平田オリザ氏の指導で小6、中1の「コミュニケーション教育の授業」を市内全小中学校で実施してきています。本プロジェクトも専門的知識や技能をもつアーティストを指導者として招聘し、低学年児童を対象として非認知能力の育成を先行研究しようとするものです。プログラム研究、作成と併せて、大学へ委託し評価研究も行います。この能力は、様々な観点でデータを分析する必要があり、多大な時間と費用を必要とします。
プロジェクトで得た成果等は教育関係者の皆様へ広く還元してまいりたいと考えておりますので、多くの皆様のご支援をお願い申し上げます。」
(注)募集期間は、延長の場合がございます。
2013年9月にトラストバンクが提供したクラウドファンディング型でふるさと納税を募る仕組み。自治体がプロジェクトオーナーとなり、関心や共感を呼ぶプロジェクトを立ち上げることで、広く資金を調達する。寄附者は自らの意思で寄附金の使い道を選ぶことができる。GCFでは、自治体が地域課題に対する具体的な解決策、必要な寄附金と使い道、寄附金を集める期間などを提示する。2019年10月時点で寄附総額50億円を突破し、570以上のプロジェクトが実施された。「2019年度グッドデザイン賞」受賞。