ふるさと納税総合サイト『ふるさとチョイス』( http://www.furusato-tax.jp/ )を企画・運営する、株式会社トラストバンク(本社:東京都目黒区、代表取締役:須永珠代、以下「トラストバンク」)は本日9月27日(木)、寄附金の使い道から共感を得て寄附を募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®(以下、GCF)」において、複数自治体が一つの共通する課題を解決するために連携する広域連携ガバメントクラウドファンディングのプロジェクト(以下、広域連携GCF)を日本で初めて開始します。第一弾として、2020年オールジャパンを目指して、長野県松川町、島根県奥出雲町、東京都世田谷区、京都府亀岡市、新潟県柏崎市、東京都墨田区が連携し、全国各地のスポーツ支援のためのプロジェクトを発足します。
トラストバンクは、2012年9月に「ふるさとチョイス」を立ち上げ、翌年2013年9月に自治体がプロジェクトオーナーになり、ふるさと納税制度の仕組みを通じてクラウドファンディング型で寄附を募る「GCF」のサービスを開始しました。「GCF」では、自治体が地域の課題を提示し、その課題に対する解決策と解決策に必要な費用を公開し、広く寄附を募ります。特徴として、お礼の品ではなく、自治体が取り組むプロジェクト(政策)への共感から寄附を募ります。寄附金の使途を明確にするクラウドファンディング型の仕組みは、2017年10月に総務省が発表した資料「ふるさと納税のさらなる活用」(注1)でも推奨されており、当社の「GCF」においても、今年は前年比で倍以上の推移でプロジェクトが立ち上がっています(注2)。
今回当社は、この「GCF」において、同じ課題を持つ複数自治体が連携できるスキームを構築し、「広域連携GCF」のプラットフォームを開設します。昨今、ふるさと納税制度においては、過度なお礼の品による返礼品競争が課題となっていますが、「広域連携GCF」では、多様な立場の自治体同士が対話をしながら新しい価値を「共」に「創」りあげます。これまで自治体は各々が抱える課題の解決のために「GCF」を活用してきましたが、「広域連携GCF」の仕組みでは、同じ課題を持つ複数自治体が一つの目的に向かって連携することで、日本が抱える課題を解決することを目指します。「広域連携GCF」により期待される主な効果は以下の通りです。
ふるさと納税制度を通じて、自治体は域内の地元住民にとどまらず、都市部を中心とした域外への情報発信にも力を入れるようになりました。「広域連携GCF」では、複数自治体が連携することで、これまで以上に広く多くの人に向けて発信することが可能になり、より多くの支援者を得ることで小さな地域でも社会を動かす力になり得る、多くの共感と寄附金を募ることが期待できます。
ふるさと納税制度に力を入れている多くの自治体の中には、地域の住民、事業者・生産者、NPO団体などと連携して、地域の魅力となるお礼の品の開発や課題解決のためのGCF事業などを行っています。「広域連携GCF」では、各地域の自治体はじめ地域の住民や事業者・生産者、NPO団体などが互いに持つ地域課題に対する経験やノウハウを互いに共有し合うことで、これまで以上に課題解決の可能性を高めます。
各自治体が共通する課題は日本の課題でもあります。ふるさと納税制度は、寄附金の使い道を指定できる仕組みであり、寄附者の意思を行政に反映することができる制度です。「広域連携GCF」では、寄附者一人ひとりの支援の想いを日本が抱える課題に反映できる仕組みです。この仕組みを通じて、国民一人ひとりが自主的に日本の課題解決に直接参加することができます。
「広域連携GCF」の第一弾として、ふるさと納税制度を活用して、2020年の国際スポーツ大会に向けてオールジャパンでスポーツを支援するプロジェクトを開始します。2020年に東京で開催される国際スポーツ大会は、日本全体が一丸となり取り組む一大イベントです。ふるさと納税制度においては、地域間の競争が課題となっていますが、本プロジェクトでは、東京だけでなく各地域が連携し、共創することで、2020年への関心を喚起させるとともに、日本全体のスポーツ文化の醸成や環境整備を図ります。ふるさと納税制度を活用して、スポーツ支援をする主な意義として、以下が考えらえます。
国際大会で活躍する日本人のスポーツ選手は、人口の多い都市部だけでなく、日本各地から輩出されています。また、これまで特定のスポーツを地域で支援し続けたことで、全国各地に世界トップクラスの選手や団体が存在します。一方、全国には財政上スポーツ事業に予算を割くことが難しい地域も多くあります。今回、2020年という大きなチャンスに、ふるさと納税制度を活用して、地域にゆかりのあるスポーツをアピールし応援を募ることで、スポーツ環境の整備や選手の育成が可能になります。
2020年の国際スポーツ大会の開催国として、全国242もの地域(2018年9月現在)がホストタウンとして世界と交流します。「GCF」のプロジェクトでは、地域の子供たちと各国選手団との交流や少年・少女たちのホストタウンへの派遣などの資金を募り、国際交流の機会を創出します。ふるさと納税制度のスポーツ支援が、地域から未来を担う国際社会で活躍しうる人材育成に繋がります。
また、障がいを持つアスリート支援を通じて、地域に多様性が育まれ、各地域と各国の文化・経済的な交流の推進が期待できます。
「広域連携GCF」は、自治体同士の連携だけでなく、国民一人ひとりが、自治体のスポーツに対する課題や挑戦に対して、寄附することで参画することができます。支援には、寄附金を送るだけでなく、応援メッセージを届けることもできます。選手・団体の励みになるメッセージを通じて、地域とその地域にゆかりのある選手や団体と寄附者が繋がることがふるさと納税制度の趣旨でもあり、地域の活力に繋がります。
本プロジェクトへの参画自治体 首長からのコメントは以下の通りです。
「コスタリカは、豊かな自然と、自然環境を大切にする国民性を持つ国です。JICAの研修事業や草の根技術協力事業が2020年東京オリ・パラ「ホストタウン」登録に繋がり、町では様々な交流事業が展開されています。このコスタリカスタディツアーでは、明日を担う子どもたちが、学校では学べない文化や言葉の違いを、実際に現地で体験することになります。コスタリカの風土と人々の生活や想いを通じて、大きく視野を拡げ、多くを学ぶことができるでしょう。そして、このスタディツアーで得たこと、感じたことを町へ持ち帰り、仲間や町民に伝えてくれることを期待しています。ホストタウン事業を通して、既に新たな交流も芽生えつつあります。子どもたちや多くの町民が互いに愛しみ、ふるさと「松川町」を見つめ直すことができることを願い、今後も国際交流事業に取り組んで参りたいと考えています。」
「今回、島根県奥出雲町はガバメントクラウドファンディングに挑戦することとしました。それは、「夢を実現できる町であり続ける」という私の決意でもあります。2020年をきっかけに、ホッケーを通じて子どもたちが世界に挑戦するまちとなるよう、このチャレンジで次世代の育成に力を尽くしてまいります。ぜひ、ご支援のほどよろしくお願いいたします。」
「世田谷区は人口90万人を超え、ふるさと納税による41億円もの税源流出に苦慮しています。ただ、私たち都市部と全国の地方自治体との競争や対抗関係となることがないように、返礼品合戦には加わらず、寄附型文化の醸成を掲げて街づくりや社会的事業の記念となるプロジェクトを進めてきました。今回は2020年の東京大会でアメリカ選手のキャンプ地となる区立総合運動場のスタンド改修に区民が参加していただく寄附募集を始めています。ユニバーサルな障害者スポーツができる陸上競技場としていくことを区民に訴え、GCF で整備費の一部をまかなっていきます。」
「ホストタウン事業は、2020年の機会を開催地だけでなく全国各地からオールジャパンで盛り上げていこうという施策の一つです。そのため亀岡市としても、当市出身の空手の世界チャンピオン荒賀龍太郎選手がおられることで、一つの大きなチャンスだと考えております。また姉妹都市のオーストリア共和国のクニッテルフェルト市とは締結して本年で55年となり、これに関しても縁を感じるところです。このホストタウン事業を契機に、国際交流に力を入れ、そして歴史あるこの亀岡を様々な面から盛り上げていきたいと思っています。なにとぞ、亀岡市の未来にお力をお貸しいただけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。」
「柏崎の水球の歴史は、1964(昭和39)年の第19回新潟国民体育大会(新潟地震により開催中止)の水球競技の会場地に柏崎が選ばれたことを契機に、1962(昭和37)年に柏崎高校水泳部に水球チームを編成したことから始まります。本市は、日本で一番大きな水球クラブ「ウォーターポロクラブ柏崎」を擁し、2016年のリオ大会では日本代表チームに本市から4名の代表選手を輩出しました。
現在は、2020年大会での代表選手の輩出に向けた選手の強化、育成に取り組んでいます。さらに、2019年7月には水球強豪国であるセルビア共和国水球男子代表チームが世界水泳の事前キャンプを、2020年7月には同じく水球強豪国のモンテネグロ男子代表チームが2020年大会の事前キャンプを柏崎市で行うことが決定し、当市においても2020年大会に向けた機運が高まりつつあります。
今回のプロジェクトへの参加を通じて「水球のまち柏崎」のPRと、全国、世界の舞台で活躍できる人材の育成、輩出につながることを期待しています。」
「『ふるさとチョイス』を立ち上げた当初から、ふるさと納税制度は自治体が行うクラウドファンディングだと思い、翌年2013年に『GCF』を開始しました。名称をローカルガバメント(自治体)ではなく、ガバメントとした理由は、ふるさと納税制度を通じて各自治体が同じ課題について協力し合えば、”政府”が行うような力を発揮できる、という想いから名付けました。このたび、各自治体のご協力により、5年前に思い描いていた本来の『GCF』のプロジェクトを発表することができ大変嬉しく思います。」
トラストバンクは今後、災害支援や「GCF」を強化するとともに、全自治体の7割以上となる約1380自治体との関係を活かして、自治体間を繋ぎ、新たな価値を共創することで、ふるさと納税制度を通じた地域支援を積極的に展開します。
(注1)ふるさと納税のさらなる活用:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000049.html
(注2)直近3年間のガバメントクラウドファンディング®のプロジェクト数の推移:2016年が66件、2017年が111件、2018年が250件の見込み